
妊娠中・授乳中・肝臓が弱い場合・高齢の場合など、血液検査の結果次第では飲み薬で治療することはできないケースもあります。
今回は爪水虫を「飲み薬」で治療した場合の効果・治療法・副作用・費用などについて、お話していきたいと思います。
目次
爪水虫の飲み薬の効果・成分
爪水虫の飲み薬に使われている成分は「グリセオフルビン(静菌作用)」「テルビナフィン(殺菌作用)」「イトラコナゾール(殺菌作用)」とあります。
グリセオフルビン | テルビナフィン | イトラコナゾール | |
---|---|---|---|
効果・効能 | 静菌作用 | 殺菌作用 | 殺菌作用 |
有効率 | 根気が必要 | 約80% | 約80% |
1990年代後半までは、白癬菌の発育を抑える作用であるグリセオフルビンの1剤しかなかったため、爪水虫を治すのに1年~2年必要とされていました。
その後、1997年にテルビナフィン、1999年にイトラコナゾールが、日本での爪水虫の治療に使えるようになりました。(欧米では1980年代から既に使われていた)
テルビナフィンとイトラコナゾールは、皮膚の角質層や爪の中へ素早く浸透し長期間留まることが出来るので、以前より短期間で爪水虫を完治させることが出来るようになりました。
爪水虫の飲み薬での治療法
「パルス療法」が効果を挙げています。
この療法は「1週間だけ通常量の倍の薬を飲み、3週間薬を休む。これを1サイクルとして3~4サイクル繰り返す。」といった方法で、爪水虫治療の主流となっています。
(画像引用元:水虫ちゃんねる│しつこい爪水虫の治療について:パルス療法について)
爪水虫の飲み薬の副作用
現在主に使われている、テルビナフィンとイトラコナゾール両方とも副作用があります。
テルビナフィン | イトラコナゾール | |
---|---|---|
胃腸障害 | 25人に1人 | 100人に3人 |
肝機能障害 | 50人に1人 | 50人に1人 |
テルビナフィンの副作用
胃腸障害・肝機能障害以外にも、粘膜皮膚症候群などを起こした例もあります。また、日本国内で副作用により死亡に至った患者さんもいらっしゃいます。定期的な血液検査が必須です。
(参考文献: テルビナフィン:ラミシール|おくすり110番:薬事典版)
イトラコナゾールの副作用
胃腸障害・肝機能障害以外にも、粘膜皮膚症候群や急性心不全などの例があります。また、飲み合わせの悪い薬がかなりありますので、診察時に医師にちゃんと伝えましょう。
(参考文献: イトラコナゾール:イトリゾール|おくすり110番:薬事典版)
(参考文献: イトラコナゾール:イトリゾール併用禁忌薬|おくすり110番:薬事典版)
爪水虫の飲み薬の費用
テルビナフィン | イトラコナゾール | |
---|---|---|
費用 | 約26,000円(6ヶ月分) | 約31,500円(3ヶ月分) |
テルビナフィンの場合は、1日1錠を毎日飲む治療法で6ヶ月が目安になります。
イトラコナゾールの場合は、先ほど紹介しましたパルス療法での3ヶ月が目安になります。
また、病院によって変わりますが、血液検査はどちらの薬だったとしても、毎回あったり月1回あったりとします。副作用の心配があるのでこまめに確認していきます。
通院の回数についても病院により変わってきますが、治療開始の頃は2週間に1回、その後4週間に1回ぐらいのペースです。
テルビナフィンもイトラコナゾールも上記費用以外にも、病院での診察代など別途かかりますので、爪水虫の治療費が記載されている皮膚科のサイトを下記にいくつか載せておきます。
治療費が記載されている皮膚科のサイト
- 爪白癬(爪の水虫)治療【品川区 あおよこ皮膚科クリニック】
- 爪水虫のパルス療法(2)治療と費用について | おおあみ泌尿器科
- 本気で治す爪水虫・その2 | 苫小牧の皮膚トラブルの相談は、たかはし皮膚科クリニックへ
爪水虫「飲み薬」での治療|まとめ
テルビナフィンのが若干効果が高い(印象ってレベル)が金額も若干高く治療期間が長い。
それに対して、イトラコナゾールは若干効果が低い(同じぐらい。テルビナフィンより効果的と書かれていることがないってレベル)が金額が若干安く治療期間が短い。
テルビナフィンとイトラコナゾールの違い
テルビナフィン | イトラコナゾール | |
---|---|---|
完治率 | 約80% | 約80% |
副作用 | あり | あり |
併用禁忌薬 | 少ない | 多い |
服用期間 | 6ヶ月 | 3ヶ月 |
1日の服用回数 | 1日1回 | 1日2回1週間 ↓ 3週間は休薬 (×3サイクル) |
費用 | 約26,000円 | 約31,500円 |
テルビナフィンとイトラコナゾールのメリット・デメリット
テルビナフィン | イトラコナゾール | |
---|---|---|
メリット | ・併用禁止薬が少ない ・効果がイトラコナゾール若干高い | ・治療期間が短い ・服用期間、通院回数、血液検査の回数が少なくなる分、治療費がやや割安 |
デメリット | ・服用期間、通院回数、血液検査の回数が多くなる分、治療費がやや割高 | ・併用禁止薬が多い ・テルビナフィンより効果が高いというデータはあまりない |
凄く簡単にまとめてしまうと「あまり変わらない」って結論に至ります。
爪水虫の症状の度合い、生活スタイル、現在の健康状態などを含めて医師に相談して、どちらの治療にするかを考えていくのが良さそうです。