爪水虫の原因は白癬菌(はくせんきん)という真菌(カビの一種)が原因です。
白癬菌が爪の内部に寄生して起きる症状が爪水虫であり、一般的な足の水虫は白癬菌が角質層(皮膚)に寄生している状態です。
ここでは爪水虫の原因である白癬菌に感染してしまうケースについて解説します。
目次
爪水虫(白癬菌)がうつる理由
白癬菌はカビの一種であり、人間の死んだ細胞を好んで寄生します。
死んだ細胞とは、皮膚の外側にある角質層、爪、毛などです。
角質層では、ケラチンという活性酸素帯たんぱく質のつまった角質細胞がびっしり層状に重なっています。
白癬菌は、このケラチンを分解するケラチナーゼという特殊な酵素を持っているので、ケラチンを栄養源にしながら角質層に寄生しています。
ちなみに、人は生活をしていく上で自然にアカを落します。
水虫の人がフローリングに落としたアカの中でも、白癬菌は環境がよければ1年以上生存し続けています。
つまり、水虫の人が落としたアカを踏んだりして、自分の足に付着することから水虫の症状が発症するってことです。
白癬菌は、足だけでなく、体全体の角質層(皮膚)、爪、毛に侵入して症状を表します。
白癬菌による症状(部位別の病名)
- 頭:しらくも(頭部白癬)
- 体:ぜにたむし(体部白癬)
- 手:手の水虫(手白癬)
- 股:いんきんたむし(股部白癬)
- 足:足の水虫(足白癬)
- 爪:爪の水虫(爪白癬)
爪水虫の場合は、主に足の水虫を放置していることにより、足から爪へ白癬菌が寄生していき起きるケースが殆どです。
白癬菌に感染する時間
白癬菌が含まれているアカが付着してからどのくらいの時間で、白癬菌が角質層に入り込むかと言うと、早くても24時間以上の時間がかかるという研究結果があります。
また、角質層に傷などがある場合は、12時間で侵入してしまう結果もあります。
白癬菌は高温多湿(特に多湿)を好みます。
環境の違いにより、角質層に侵入してくる時間も変わってきますので、実験データを載せておきます。
35℃環境の場合 | 湿度85% | 湿度100% |
侵入時間 | 1週間以上 | 1日 |
体温に近い35℃から15℃に下げた環境でも、湿度100%なら3~4日で角質層へ侵入してきます。
このことから白癬菌は高温多湿、特に多湿を好む傾向があることが分かります。
ちなみに、湿度100%ってどんな状況か?ってことについてですが、私たち人間の足は1日200ml(コップ1杯)もの汗をかくと言われています。
足の指の間の湿度を計測した結果、素足で生活している時が湿度80%であり、靴を履いていると100%になると言われています。
その上、梅雨の時期になると外気の湿度も上がりますので、白癬菌にとっては都合のいい環境になります。
こういったことから、夏前に爪水虫について検索している人が多いです。
水虫・爪水虫について夏前に気になり治療を始める人が多いのですが、実は白癬菌の特性を考えると低温で乾燥している冬のが、効果的な治療ができるのです。
白癬菌の感染力
昔の日本では水虫の人はいなかった様です。
文明開化の時代に靴が輸入されてきて、白癬菌が日本に侵入して人から人へ寄生して今の様に、多くの方の悩みになりました。
ちなみに、日本では10人に1人は爪水虫、5人に1人は水虫、という集計結果もあります。
白癬菌の感染力自体は強くなく、空気感染はしませんし、付着しても洗い流すことも可能です。
それでも、これだけ多くの人に発症しているので、身近な所でも感染する可能性は高いってことです。
ここからは、白癬菌に感染する可能性が高い場所や状況についてお伝えします。
白癬菌に感染しやすい場所
厳密に言えば、至る所に白癬菌は潜んでいます。
今回は特に多い場所について紹介していきます。
銭湯・スポーツクラブのバスマット
銭湯・温泉・スポーツクラブ・プールなど、不特定多数の人が利用している場所、且つ湿度が高い場所では白癬菌がたくさん潜んでいます。
こういった場所でのバスマットなどは「踏まないようにする」ってことが一番です。
むしろ白癬菌を足に付着させないで帰ることは不可能と言ってもいいぐらいなので、靴下を履く前にキレイに拭き取って乾燥している状態で靴下を履き、家に帰ったら足を洗いましょう。
足に白癬菌が付いてしまっても、侵入してくるのに24時間は必要なので、洗い流せば問題はありません。
これは、私が神経質に言っているのではなく、皮膚科の専門医の方が言っている情報です。
病院のスリッパ・居酒屋のサンダル
病院のスリッパも、不特定多数の方が使用しているので白癬菌がたくさんいます。
特に、水虫患者が多い皮膚科のスリッパは要注意です。
こういった場所のスリッパは履かずに、マイスリッパを持参するべきです。
また、居酒屋の座敷、トイレ用のサンダル、こういった場所でも白癬菌はたくさん潜んでいます。
先ほどと同じ話になりますが、帰宅したら足を洗う習慣をつけるようにしましょう。
白癬菌に感染しやすい環境
白癬菌について知っておきたい情報は、高温多湿を好み、洗い流せるって部分です。
また、足に傷があると白癬菌の侵入時間が半日になってしまうので、足を洗うときはゴシゴシ洗わずに優しく洗いましょう。
ここでは、白癬菌に感染しやすい環境についてお伝えします。
1日8時間以上靴を履く・毎日同じ靴を履く
これに当てはまっている場合は、白癬菌に感染しやすい環境で過ごしていることになります。
1日8時間以上靴を履いている場合、足は蒸れて湿度100%の環境化になっているので、白癬菌が活発に活動できる環境です。
また、毎日同じ靴を履かずに、2~3足をローテーションにして、靴の中を少しでも乾燥させることが白癬菌対策に繋がります。
女性のハイヒール・ブーツ
ハイヒールは、重心が指先にかかり、指の間の湿度が上がりやすいです。
また、ブーツの中は冬でも高温多湿状態になりますので、これも白癬菌が活動しやすい環境になってしまいます。
以前と比べて、現代では外で働いている女性が増え、こういった靴を履くケースが多いことから、水虫・爪水虫は今や男性だけではなく、女性にも多く発症しています。
毎日お風呂に入る習慣がない
ここまでにお話させていただいた様に、白癬菌は洗い流すことができます。
足に傷がなければ白癬菌の侵入時間は24時間以上かかりますので、毎日お風呂に入って足をキレイに洗っていれば、水虫が発症することはありません。
家族に水虫の人がいる
実は、白癬菌の感染は家庭内が一番多いと言っても過言ではない状況です。
家族に水虫の人がいる家庭では、うつってしまうケースがかなり多いのです。
家の中で一番気を付ける場所は、バスマット。
バスマットはそれぞれ個人のものを使用するようにしましょう。
その他にも、白癬菌付きのアカが至る所に落ちている状況なので、部屋の掃除はこまめにするようにしましょう。
爪水虫(白癬菌)がうつる原因・まとめ
今お伝えした「白癬菌に感染しやすい6つ場所&環境」に気を付けることにより、白癬菌に感染する確率はかなり下がります。
また、既に白癬菌による症状(水虫・爪水虫など)があったとしても、上記内容に気をつけながら治療を進めることにより、効果的な治療を進めることができます。
白癬菌は人から人へ感染をし続けて、現代病とも言えるぐらい症状を表している人が増えてきています。
自分に症状が出ていると気づいたら、体の他の部位にまで広がらないうちに、早期治療が望ましいです。